初級日本語のココがポイント!
今回の記事では、外国人学習者がよく間違える文法についてご紹介します。
日本語教師として、できるだけ日本語学習者の皆様の役に立つ話をしたいと思います!

「漢字がわかりにくいです(wakarinikui)。漢字はたくさんありますから」と言われることがあります。
私が日本語教師を始めたばかりの頃は、「ん?『漢字がわかりにくい(wakarinikui)』?なんだかちょっと違和感のある言い方だなぁ。どこが変なんだろう」と思っていました。
こういう時、正しくは何と言うべきなのでしょうか。
『動詞+nikui』は『~するのが難しい』という意味の文法だと説明されます。
それはどんな「難しい」なのでしょうか。
『wakarinikui』というのは、例えば
「彼の話は下手でわかりにくい(wakarinikui)」とか
「彼が書いてくれた地図が下手でわかりにくい(wakarinikui)」とか
「この文章は構成が悪くてわかりにくい(wakarinikui)」という風に使います。
つまり、やり方が悪いから、『わかりにくい(wakarinikui)』=『よくわからない』のです。
「漢字がたくさんある」ということが理由だとしたら、答えは「漢字がわかりにくい」ではなく「漢字がよくわからない」なのです。
「漢字がわかりにくい(wakarinikui)」というのは、まるで、「そもそも漢字の作り方が悪い」と言っているみたいです。その気持ちはわかりますが、漢字の起源に対して文句を言ってもしょうがないですね。

『動詞+yasui』は『~の方が簡単だ』という文法です。
「わかりやすい(wakariyasui)」のは自分の努力によるものではなく、自分以外の誰かの「やり方が良かった」から、わかりやすいのです。
自分が努力した(=ちゃんと予習した)から、授業がわかったのなら、「予習しましたから、よくわかりました」と言えばいいのです。
もし日本語学習者が「今日は先生の説明がすごく良かったから、わかりやすかったです!」と言ってくれたら、教師として最高の気分です!でも、学習者はなかなかそうは言ってくれません・・・
『動詞+nikui/yasui』という文法は、意味としては難しくないせいか、この日本語を知っている学習者はよく使おうとします。ですが、上記のように微妙に違う使い方で覚えてしまい、それが定着してしまっている学生も多いのです。
「よくわからない」「よくわかった」という基本の文法を使うのが無難です。私はよく学生に「『nikui』は使いにくいので、使わないでください」と言っています。

『食べにくいお菓子(tabenikui)』って、どんなお菓子でしょう?例えば、食べるときにボロボロこぼれてしまうようなお菓子とか、大きすぎて口にはいらないお菓子とかですね。
そんな『食べにくいお菓子(tabenikui)』というワードで画像検索すると、北海道にある町の名物であるロールケーキの画像がたくさんヒットしました。
でも、どう見ても普通のロールケーキです。他のロールケーキに比べて『食べにくい(tabenikui)』感じは全然ありません。なのになぜ『食べにくい(tabenikui)』?
調べてみると、このロールケーキはものすごく甘いということと、そもそもこのケーキの製造メーカー自身が「日本一食べにくい(tabenikui) (でも、食べてみるとおいしい)」と宣伝しているということがわかりました。
「このケーキ、すごく甘くて食べにくい(tabenikui)??」
本当にこのケーキは「食べにくい(tabenikui)」で正しいのか、それとも、ただ単に「おいしくない」のか、現物を入手して調べたいですね。
ただ、私は甘すぎるものはそもそも『食べられない』ので、このケーキが本当に『食べにくい(tabenikui)』かどうかは調査できないかもしれません。