日本にもスラングはある?有名な日本のスラング

今日は日本語のスラングの中でも、「とても」という意味の言葉、カタカナに「る」を付けた動詞の言葉を紹介します。

スラングを使うときには気をつけよう

みなさんの国でもスラングを使うときには注意することがあると思います。日本でも同じです。スラングを紹介する前に、使うときの注意を2つお話します。

 

1つめは使う相手に気をつけることです。

 

「まじ やばい」という言い方を聞いたことがありますか。

「まじ」(maji)は「とても」という意味です。

「やばい」(yabai)は元々は「よくない、危ない」という意味ですが、今では「とても いい」「とても わるい」「とても おいしい」などいろいろなシーンで使われている便利な言い方です。

 

私が担当している日本語クラスの留学生や社会人の学習者50人に聞いてみたところ、50人全員が「まじ やばい」を知っていました。そして、職場やアルバイト先でも使ったことがあるという人が41人いました。さらに、誰と話す時に使うかを聞くと、全員が「友だち」「同僚」「社内」と答え、ほとんどの人が「社外の人や上司には使わない」「会議やミーティングの時には使わない」と答えました。

 

日本語学習者の人も「まじ やばい」を使う相手には注意していることがわかります。フォーマルな場所、上司、社外の人には使わないようにしましょう。

 

2つめは、日本語のスラングはすぐに使われなくなることが多いということです。もう使われなくなった言葉を「死語(shigo)」と言いますが、みんながよく使っているからといって使うと「それ、もう死語だよ。」つまり、「もう誰も使っていない言葉だよ。」と思われてしまうことが多いので注意が必要です。

 

例えば、ソーシャルメディアできれいな写真を載せることを「ばえる(baeru)」と言い、数年前までよく使われていましたが、今はほとんど聞きません。可愛いものや動物、アイドルなどがとても好きだという気持ちを表す「萌え(もえ moe)」も使われなくなった言葉の一つです。今は、好きな人を応援するという意味で「推し(おし oshi)」に代わっているようです。

「まじ やばい」(maji yabai)の使い方

「報告書の提出、今日までだった。忘れてたよ。まじやばい」
(報告書の提出をわすれていた。とても困った、とても大変だ)

 

「なにこれ。おいしい。まじやばい。」
(これはとてもおいしい)

 

「昨日見た映画、まじやばかった」
(昨日見た映画はとてもよかった。感動した。)

「推し」(oshi)の使い方

「私の推しが結婚しちゃってショック」

(私が応援している芸能人が結婚してしまって悲しい)

 

「同じ部署のAさん、社内では一番の推しなんだ」

(同じ部署にいるAさんは会社の中で一番いいと思う)

「とても」の言い方

「とても」「本当に」の言い方もいくつかあります。
すごい(sugoi)すごく(sugoku)
まじ(maji)
超 ちょう(cho)
とっても(tottemo)
激 げき(geki)

 

「本当ですか。信じられません」というときに使う言い方。
まじか(majika)
まじで(majide)
うそ( uso)うそでしょ(usodesyo)

 

例:
「Aさん、今月で会社やめちゃうんだって」
「まじか」(majika)
「うそでしょ」(usodesyo)

動詞のスラング

カタカナの言葉にるをつけたり、動詞の意味がひろがって使われることがあります。

 

インターネットなどで何かを調べるときに使う言い方。

ググる(guguru) Googleで調べる

ヤフる(yahuru) yahooで調べる

ウィキる(wikiru)wikipediaで調べる

 

例:

「あれ、この町はどこにあるんだろう。」

「わたしも分からない。ちょっとググってみよう。」

職場や学校などで使う言い方

ミスる(misuru) ミスをする、失敗する

メモる(memoru) メモをする

コピる(kopiru)   コピーをする

ダブる(daburu)  同じものが2つ以上ある 留年する

 

例:

「その資料コピーしておいたよ」

「あ、わたしもさっき同じものをコピーしたよ。」

「そうか。コピー、だぶっちゃったね。」

ポジティブな表現

ウケる(ukeru) 面白い、笑える

「その話、めっちゃうける」

 

ツボる(tuboru)

特に面白い とても笑える「笑いのツボに入る」を短くしたもの

「なに、ツボって、一人で笑ってるの。そんなにおもしろい?」

 

ハマる(hamaru)

夢中になる

「今、このゲームにハマってて、休みの日はずっとゲームしているんだ。」

 

イケる(ikeru)

上手にできる 上手い いい おいしい

「ここのおすし、イケるね。(おいしいね)」

「あの人、イケてるよね。(あの人かっこいいね、きれいだねえ)」

ネガティブな表現

ディスる(disuru)

disrespectの意味 相手を否定する 悪口をいう

「私の作った作品がネットでディスられてちょっと落ち込んでいる。」

 

ポシャる(posharu)

計画や仕事が途中でだめになる。中止になる。

「あのプロジェクト、どこまで進んだ?」

「それが、資金が足りなくてポシャっちゃったんだ。」

 

サボる(saboru)

しなければいけないことをしないで怠(なま)ける

「もう2時なのにまだ会社に戻ってこないね。」

「またどこかで昼寝でもしてサボっているんだろうね。」

 

ビビる(bibiru)

怖いと思う 怖いものに会ったときに緊張して何もできなくなる

「夜中に地震があって、ビビった。」

 

すべる(suberu)

面白い話をしたと思ったのに全然おもしろくなかった

「お笑い芸人なのにいつも話がすべっておもしろくないよ。」

 

凍る こおる(koru)

だれかがしたこと、言ったことでその場所の雰囲気が変わる とても悪くなる

「決算でとても忙しい時に、新入社員が『明日から一週間有休を取って休みます』と言ったので、職場が凍った。」

スラングと流行

動詞のスラングはいかがでしたか。

 

タピオカミルクティーが流行したときは、「タピる」という言葉をよく聞きましたし、今はインスタントカメラで写真を撮ることが流行しているので、カメラの名前を使って「チェキる」という言葉を時々聞きます。このように、動詞のスラングには物の流行とともに生まれる言葉もあります。

 

今回は流行に関係なく日本人が日常会話で使っているものを選んでみました。

ネットスラングや形容詞のスラングなどはまた機会があったら紹介したいと思います。

TCJ講師から

TCJには夜19時から始まる夜間クラスがあります。「どうしてTCJを選んだのですか。」と聞くと「夜ちょうどいい時間のクラスがあったから」と答える方も多いです。初めて日本語を勉強する人のためのクラスから上級ビジネスクラスまでいろいろなコースが用意されています。日本語能力試験(JLPT)のクラスもあります。どのクラスも、オンラインと教室のどちらも選べるようになっています。いつも教室に来られる学習者さんがオンラインで入られるときもあります。「どうしましたか。」と伺うと、「残業していたから会社からです」「今帰国しているから国からです」「旅行中だけどクラスには参加したいから」といろいろな答えが返ってきます。中には、帰宅途中の電車の中から受講して下さっている人もいます。逆にいつも海外からオンラインで参加されている方が日本に来た時に教室に来て受講してくださることもあります。

 

せっかく始めた日本語の勉強を続けて欲しいから、「自分に合う方法で受講できる、自分に合うレベルで受講できる」クラスにしています。

 

お会いできるのを楽しみにしています。

この記事の筆者
日本語教師
Rie Miyashita
2001年から日本語教師の仕事を始める。学習者の「わかった。」という笑顔が嬉しくて、この仕事を続けている。主に日本語学校で、初めての日本語から上級者の日本語まで担当してきたほか、JLPTやEJU対策、進学指導、クラス担任も行う。TCJでは2021年から夜間の社会人クラスを担当している。現在は外国人就労者のための日本語、日本で生活する外国人の日本語、地域の日本語に関心があり、日々の仕事の中で実践中。令和3年 文化庁委託就労者に対する日本語教師【初任】研修修了、令和5年 「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修受講中。

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