アニメの日本語は正しい日本語?同じ話し方でOK?

日本のアニメは世界中で人気があります。
アニメはストーリーがおもしろくて、魅力的なキャラクターもたくさん出てきます。キャラクターの特徴がある話し方も人気です。

でも、アニメの話し方をそのまま真似しても大丈夫でしょうか?実はそのキャラクターの話し方は日本のTPOに合っていなかったり、特徴的すぎることがあるかもしれません。この記事では様々な日本のアニメを例に一般的に使われている話し方なのか解説していきます。気をつけなければいけない点を知って、よりアニメを楽しんでくださいね。

 

アニメに登場する個性的な話し方のキャラクター

皆さんはアニメは好きですか。実は、外国人が日本語を勉強する理由で一番多いのが「マンガ・アニメ・J-POP・ファッションなどへの興味」だそうです。実際、日本語学校で学生と話すと、マンガやアニメ、ゲームがきっかけで日本語に興味を持ったとよく聞きます。学生の方が私よりも詳しく、最新の情報を知っているので、いろいろ教えてもらっています。

アニメに出てくるキャラクターは、個性的な話し方をしていることが多いです。それはどうしてでしょうか。考えられる理由は、いくつかあります。

まず、キャラクターの個性を強調するためです。アニメには多くのキャラクターが登場するので、視覚的だけではなく、言葉遣いでも個性を示す必要があります。また、話し方はキャラクターの出身地や職業、時代背景を反映しています。

例えば、方言を使ってその地域制を強調したり、古風な話し方にして歴史的背景を視聴者に伝えようとしたりします。特定の言葉遣いや口調が使われることが、キャラクターの魅力を一層強いものにすることもあります。

アニメでは、現実ではあまり聞かれないような話し方や誇張された表現が許されるので、視聴者はアニメの非現実的な世界観に没入しやすくもなります。これらの理由が作品の魅力を増したり、視聴者の印象を高めたりしているのですね。

 

個性的な話し方をするキャラクターの例

私の世代で有名なキャラクターをいくつかあげてみます。まず、『北斗の拳』のケンシロウです。
「お前はもう死んでいる」
1987年に放送されたアニメですが、この有名すぎるセリフは、知っている方が多いと思います。ケンシロウに倒されたはずの敵が、まだしゃべっている場面…本人は生きていると思っていたのに、「お前はもう死んでいる」と告げるケンシロウ。

衝撃的でした。

「話し方」に含まれるかどうかはわかりませんが、敵と戦う時の「あたぁ!」「あたたたた!」という掛け声も印象的です。

それから、話し方に特徴があるといえば、『Dr.スランプ アラレちゃん』です。

喜んだ時には「うほほーい」、あいさつの時は「んちゃ」、バイバイは「ばいちゃ」、疑問に思った時は「ほよ?」、驚いた時は「ほよよー」、そして両手を広げマッハで走る時は「キーン」と言いながら走ります。これらの言葉は、子供たちがみんな真似したものです。

他にも、『うる星やつら』(1981年放送)のヒロインのラムちゃんが語尾に使う「~だっちゃ」という言葉や、『NARUTO‐ナルト‐』(2002年放送)の主人公うずまきナルトの口癖「~だってばよ」、『キテレツ大百科』(1988年放送)に出てくる名物キャラクターのコロ助が使う「~なり」という言葉が有名です。『ケロロ軍曹』の「~であります」、『るろうに剣心』の「~でござる」、『HUNTER×HUNTER』の「~だわさ」などもあります。

アニメのキャラクターは日に日に増えているので、今後も奇抜なしゃべり方をするキャラクターがますます増えると思います。

 

教科書で習う日本語との違い、日常会話との違い

日本語学習者の多くが日本のカルチャー、特にアニメに興味を持って学習しています。では、アニメで日本語を学ぶことはできるのでしょうか。

アニメはストーリーがおもしろく、「もっと続きが見たい!」と思うように作られており、好きなキャラクターのセリフを真似してみたり、好きなアニメの説明を友人にしたりしているうちに、自然に日本語の語彙を覚えていきます。

また、日本語のイントネーション、アクセントなども習得できます。日常生活で経験する、様々なシチュエーションを日本語を通して見ることができ、リアルな会話表現を身につけることができます。

ただ、気をつけなければいけないことも数点あります。
一つめは、アニメのジャンルによっては、参考にならない点です。日常生活で全く使わない言葉や、礼儀の悪い話し方をするキャラクターばかりの作品もあります。
例えば、初めて会った人に、「(あなたは)どなたですか?」と言うべきところを、ドラゴンボールばかりを見ていた人は「お前、何者だ?」と言ってしまうかもしれません。意味は通じますが、相手に失礼な人だと思われてしまうでしょう。
ちなみに、「お前」という言葉は日本語の教科書では出てきません。(中上級以上の学習で、友達との喧嘩の場面、小説などでは出てくることもあります)
二つめは、アニメの声優は普通の日本人と比べてはっきりと聞き取りやすい発音で話しているため、これに慣れてしまうと、実際の会話で日本人が話している内容が聞き取れないかもしれないという点です。

これらの点に気をつければ、アニメは自然な会話を習得したい人にはとても役に立つと思います。

 

話す相手によって語尾を使い分けるべき

日本語には、多様な表現があり、主語や語尾などに特徴をつけることで、どのキャラクターがしゃべっているのか、わかることがあります(このようなものを役割語といいます)。
日本語の勉強でも最初に習い、よく知られている語尾は、「です」「ます」です。丁寧な言葉遣いで、いい印象を与えます。日本語の勉強を始めると、まずこの形を習うことが多いです。

次に「だ」です。日本語の勉強でも、「ます」「です」を勉強した後、出てきます。「彼は元気だ」「この料理はまずい」「コンビニはとても便利だ」など。

それから、「だよ」。「明日はテストだよ」「今日の夕食はカレーだよ」「雨がやんだよ」など、日常会話でよく使います。優しい感じの人物の場合、男女問わず「だよ」「ないね」「だね」などを使います。

少年漫画やアニメでは、「だぜ」という言葉もよく出てきます。
「食べに行こうぜ」「何でもいいぜ」
少し悪ぶっているイメージです。

部活ものだと、後輩が先輩に話す時によく使う「っす」も出てきます。
他にも、「のです」「のじゃ」「である」「ですわ」「だわ」「よ」「であります」「あるよ」「ござる」「にゃ」「だべ」「ずら」、それに大阪弁(関西弁)もあります。

これだけたくさんの語尾があると、どう使い分けたらいいのか、わからなくなりますね。とりあえず、気をつけることを書いておきます。

 

1.相手との関係

目上の人と話す時は、「です」「ます」が基本。同僚や友人、目下の人とは「だ」「だよ」などのカジュアルな形。

 

2.状況

公的な場では、「です」「ます」。ビジネス場面では敬語を使います。
日常の場面では、カジュアルな形。ただし、同じ相手でも仕事中は「です」「ます」や敬語、プライベートではカジュアルな語尾を使ったりするので注意が必要です。

「ご飯を食べますか」が目上だと「お食事はいかがですか」になり、同僚だと「ご飯食べる?」になります。状況や相手に合わせて使い分けることで、より円滑なコミュニケーションが取れます。でも、特に厳密なルールがあるわけではありません。状況や相手との関係性によって、柔軟に使い分けることが重要です。

 

TCJでもっと日本語を学ぼう

アニメの日本語について説明しましたが、日常会話との違い、いろいろな語尾があることを知り、日本語学習は難しいと思いましたか?それとも、ますます興味を持ったでしょうか?

「こういう時にこの表現を使うのは、変だろうか…」と思った時、TCJの先生なら、わかりやすく使い分けを教えてくれます。また、クラス授業なら、アニメや漫画が好きなクラスメイトがたくさんいるので、話も弾むでしょう。アニメ好きな先生もいます。
もっと詳しく勉強したかったり、家が遠い時にはオンラインのプライベートレッスンもあります。あなたもTCJで楽しく日本語を学びませんか?

 

この記事の筆者
日本語教師
NakamuraMachiko
日本語学校や国際交流協会、語学スクール、企業などで日本語を教えて約20年。TCJではプライベートレッスンを担当し、最近は技能実習生にも教えている。学習者の「楽しかった」という声が励みになっている。

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