【TCJの “古株” 受講生へインタビュー】日本文化への興味から、鮨屋をオープンするまでに!

TCJ卒業生ではなく現役受講生の話を聞いてみたい!日本語レッスンの受講を検討している方の参考になるように受講生にインタビューをしてみました。ゼロから日本語を学び、日本の職人さんとビジネスパートナーになり、今年アメリカに鮨屋をオープンするサミュエルさんにお話をうかがいました。

Q:自己紹介と日本語を学習している理由をお願いします。

A:サミュエルです。アメリカ在住のコロンビア人です。アメリカの人たちに “日本の鮨職人の本物の味” を知ってもらいたくて、マイアミに鮨屋をオープンします。鮨職人さんに敬意を表して日本語でコミュニケーションを取りたいから学んでいます。これは、「今現在」の学習理由です。必要だから学んでいる理由です。

最初は興味だけでした。子どもの頃からずっと日本に興味がありました。日本の職人さんにも興味がありました。日本語はとても興味深い言語だと思っていました。でも、日本語を始める前の数年は、本当に日本語を学ぶかどうかずっと考えていました。語学学習は時間がかかるし終わりがないから途中でやめたら意味がない。1週間に6時間くらい多くの時間を費やして仕事につながらなかったら、娯楽や趣味だけで終わるのは意味がない。その時間に金融など自分のキャリアにつながる勉強をした方がいいのではないか、と慎重になっていました。

でもある日、コロナのパンデミックのつまらない時に、考えがいい方向に変わったんです。私が考えていたことは日本語に対して浅い評価だと気づいたんです。本当の価値は始めなかったらわかりません。日本語の学習を始めたら、自分の想像を超えるたくさんの可能性があるはずだと思ったんです。

そして今、過去を分析して言えるのは、日本語のおかげでキャリアや人生が大きく変わったということです。可能性の宝庫でした。まさか自分が鮨屋をオープンすることになるなんて、日本語を学ぼうか悩んでいた当時では考えられなかったです。なので、最初に言いたいです。日本語を勉強しようか迷っている人は、絶対始めた方がいいです!!どの冒険でも挑戦した方が未来が豊かになります。

Q:日本語学習歴を教えてください。

A:2020年に日本語を勉強しようと決めました。当時、語学学校を知らなかったので母校のマイアミ大学に電話しました。日本語の先生とつながって、大学の短期コースを受講できることになりました。コース修了後は、マイアミ大学の日本語の先生から「知人の先生で、達人がいるから!」と、森田六朗先生を紹介していただきました。森田先生のいるTCJでプライベートレッスンを始めました。2021年1月にオンラインで顔合わせをして、森田先生には大変お世話になりました。

翌年、日本に視察に行きました。自分のビジネスのためです。その時にTCJのクラスを受講しました。N3レベルのクラスでしたが、漢字以外は簡単だったのでN2クラスに変更しました。1学期が終了した時、腰を痛めて手術することになりました。手術は日本でしましたが、急遽アメリカに緊急帰国することになったんです。アメリカでリハビリをしました。1ヵ月後日本にまた戻ってきましたが、今度はプライベートレッスンを希望しました。自分に必要な日本語や専門用語などを自分のペースで学びたかったからです。2023年アメリカ帰国後も週に2〜3日オンラインレッスンを続けていて、今に至ります。

※森田先生は、中国で長年日本語教師の経験があり剣道の師範でもあります。またTCJ blog記事の執筆も行っており、ベストセラー本「日本人の心がわかる日本語」の著者でもあります。ぜひチェックしてみてください。

森田先生ご執筆コラム
「四字熟語」はおもしろい

Q:どのような学習をしてきましたか。具体的に教えてください。

A:マイアミ大学の短期コースでは、ひらがなから基本的な基本的な日本語を学びました。教科書は『げんき』ⅠとⅡでした。日本語の深さに驚きました。恐れていましたが、深いからこそ面白いと思いました。

森田先生のプライベートレッスンは、とてもかっこよくて緊張感を和らげてくださいました。侍のような修行で、一年間文法に完全に集中しました。文法の能力や知識を高めました。あとから振り返るとこの期間はとても大切だったと思います。日本語はどういう言語か、「日本語がわかる」ことに集中したので、話せるか読めるかは気にしませんでした。それを気にしていたら文法に集中できなかったと思います。この時期は簡単に言うと、日本語のソフトを頭にインストールしたという感じです。

日本到着後は一番悔しい期間でした。クラスレッスンはとても楽しくて順調でした。でも、授業以外、日常生活の時、たくさんの知識を持っていたけどスムーズに話せなかったんです。自分が思ったよりとても苦しかったです。恥ずかしい感じが強すぎて緊張しすぎて、何も出てこなかったです。アカデミック日本語は上手だったけど、ストリート日本語は凸凹でした。

2022年6月から9月までは腰のことがあったので日本語学習はお休みしました。リハビリが終わって日本に戻ってきて、鮨屋の起業の話が順調に進んでいたので、いろいろ考えた結果、プライベートレッスンに変えました。クラスレッスンの内容や流れは日本の会社で働きたい人向けです。必要なコミュニケーションが全然違います。私は日本人とパートナーになりたくて信頼関係を構築するのが最優先の期間だったので、正しい日本語より自然な日本語が大事でした。

森田先生から教わったことですが、日本語は敬語が多すぎると心の距離ができます。カジュアルになったら心の距離が近づきます。敬語が多すぎたら不自然でロボットみたいな感じで、自分の性格がそこに入らない。何も隠していない「本当の私」を相手に伝えたかった。でもカジュアルすぎてもダメです。自然な日本語が大事です。レッスンの中で自分の気持ちを自然な日本語で言う練習をたくさんします。「自然な日本語のサミュエル」に慣れます。

その時から今までこの方法でレッスンをしています。日本語はまだ間違いだらけですが、英語のサミュエルとスペイン語のサミュエルと同じくらい、日本語のサミュエルも存在するようになりました。

Q:日本語学習のおもしろいところを教えてください。

A:全部おもしろいでしょ!

Q:日本語学習の大変なところを教えてください。

A:最初の2年間は漢字をずっと避けていたんです。恐れていましたから。でもついに漢字に向き合う時期がきてしまったんです。実際は避けられません。でも一番興味深いところでしたから、避けていたことを後悔したほどです。今は漢字オタクになりました。一番好きな漢字は「上京」です。

Q:日本語学習で工夫しているところを教えてください。

A:授業以外のイマージョンがとても効果的、というか必要だと思います。毎日、日本語漬けの生活ができるように工夫しています。わからない内容を読んだり、聞いたり、見たりした方がいいです。わからない内容こそ、効果的です。スクリプトがない教材の方が自然な日本語を学べます。それから読書の効果をあなどらないでください。

Q:モチベーションが下がった時などはどうしていますか。

A:モチベーションが低いと感じるのは、自分の能力を測っているからです。実際の能力が期待より低いはずです。ですから悔しかったりモチベーションが下がっていると感じる。もったいない時です。結果を気にせず、努力に集中した方がいいです。結果がいいかどうかにもかかわらず、難しい時期にも勉強を続けたら結果はついてくるはずなので、難しい時期こそ続けるべきです。

Q:サミュエルさんにとって、日本語学習のゴールはありますか。

A:ゴールは続けることです。

Q:TCJはどうですか。他の人におすすめしたいですか。

A:もちろん、オススメしたいです。自分のニーズをよく尊重してくれます。学校の雰囲気は、学生を頑張らせます。この上なく、先生たちやスタッフは優しくてプロフェッショナルです。

TCJでもっと日本語を学ぼう

今回はTCJのプライベートレッスンとクラスレッスンの両方を受講したことのあるサミュエルさん(自称「TCJマスター」)に日本語の冒険の旅の回想談をうかがいました。プライベートからクラスへ、クラスからプライベートへ、レッスンの切り替えは、日本語学習者様ひとり一人のニーズを最優先して、臨機応変に対応しています。みなさまの日本語の冒険の旅を全力でサポートいたします。

この記事の筆者
日本語教師
PaivaAyaka
日本語教師/Webライター/翻訳家。大学卒業後、求人広告や商品広告のコピーライターを経験。2010年からブラジルの国外就労者情報援護センター(CIATE)で、日本へ就労希望のブラジル人に日本語指導を行う。同時期にサンパウロ新聞社で翻訳記者としても働く。日本帰国後、TCJの養成講座を修了し、日本語学校で経験を積む。現在はTCJでプライベートレッスンを担当しているほか、都立高校の外国につながる生徒や技能実習生に教えている。

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