匹、頭、羽、尾?これは全て動物の数え方!日本語の単位の種類を勉強しよう

日本語を勉強していると、「一つ(ひとつ)」「二個(にこ)」「三人(さんにん)」など、物の数え方にさまざまな言葉があることに気づくでしょう。その中でも、動物の数え方には少し特別なルールがあります。犬は「一匹(いっぴき)」、馬は「一頭(いっとう)」、鳥は「一羽(いちわ)」、魚は「一尾(いちび)」のように、動物の種類によって助数詞(数を数えるための言葉)が変わるのです。

このような数え方は、日本語を母語としない学習者にとって、混乱しやすいポイントのひとつです。しかし、その違いを理解すると、日本語の面白さや、日本人が物事をどう見ているかという感覚にも触れることができます。

この記事では、「匹」「頭」「羽」「尾」という、動物を数えるときに使われる代表的な助数詞をわかりやすく紹介します。イラストを思い浮かべながら、楽しんで学んでみましょう。読んだあとには、きっとあなたも、身の回りの動物を数えてみたくなるはずです。

 

日本語で動物の数え方を知ってますか

日本語には、「助数詞(じょすうし)」という特別な数え方の言葉があります。これは、物や人、動物などを数えるときに使う単位のことで、数の後ろにつけて使います。英語や他の言語では、名詞の形や前の語だけで数えられることが多いですが、日本語では何を数えるかによって使う助数詞が変わるため、学習者にとっては少し難しく感じるかもしれません。

たとえば、「犬」を数えるときは「一匹(いっぴき)、二匹(にひき)」ですが、「牛」を数えるときは「一頭(いっとう)、二頭(にとう)」になります。「鳥」は「羽(わ)」で、「魚」は「尾(び)」です。同じ「動物」でも、種類や大きさによって使う助数詞が異なるのが日本語の特徴です。

この文章では、「匹」「頭」「羽」「尾」の4つの助数詞について、それぞれどのように使われるかをやさしく解説していきます。

 

「匹」は、小さな動物を数えるときに使う助数詞です。特に、犬、猫、ねずみ、うさぎ、ハムスターなど、体が小さめの哺乳類に使います。

例:犬が三匹(さんびき)、猫が一匹(いっぴき)

音の変化に注意が必要です。「いちひき」とは言わず、「いっぴき」となります。以下のように、数によって読み方が少し変わります。

数字  読み方

1   いっぴき

2   にひき

3   さんびき

4   よんひき

6   ろっぴき

8   はっぴき

10   じゅっぴき/じっぴき

このように、音の変化(促音化)や濁音化も含めて覚えると、より自然に使えるようになります。なお、うさぎだけは一部の地域や神社では「羽」で数えることがありますが、日常的には「匹」が使われています。

 

「頭」は、大きな動物を数えるときに使います。特に、家畜や動物園にいる動物など、体が大きい哺乳類に使われます。

例:馬が一頭(いっとう)、牛が二頭(にとう)、ゾウが三頭(さんとう)

これも読み方に変化があります。「いちとう」ではなく「いっとう」、「ろくとう」ではなく「ろっとう」など、音の変化に注意しましょう。

この助数詞は、昔の日本で牛や馬を農業に使っていたころから使われていた単位で、特に「家畜」としての意味を持つ動物に使われることが多いです。そのため、ペットの犬を「一頭」と数えると、少しかたく聞こえることがありますが、動物病院や正式な文書では「頭」を使うこともあります。

 

「羽」は、鳥を数えるときに使う助数詞です。もともと「羽根(はね)」の意味を持っており、飛ぶ動物をイメージさせます。

例:スズメが三羽(さんわ)、鳩が五羽(ごわ)、にわとりが一羽(いちわ)

発音のポイントは、「はね」と書いて「わ」と読むことです。「一羽」は「いちわ」、「二羽」は「にわ」、「三羽」は「さんわ」となります。これも初級学習者にはやや混乱しやすい点です。

また、小鳥(インコや文鳥など)やコウモリも「羽」で数えるのが一般的です。稀に、インコなどを「一匹」と言う人もいますが、正確には「一羽」が正しい表現です。

さらに、スポーツの「バドミントン」で使う「シャトル(羽根)」も、一つ、二つではなく「一羽、二羽」と数える場合があります。これは日本語の面白い特徴の一つと言えるでしょう。

 

「尾」は、魚を数えるときに使う助数詞です。日常会話ではあまり聞き慣れないかもしれませんが、魚市場、料理店、レストランのメニューなどではよく使われます。

例:鯛が一尾(いちび)、アジが二尾(にび)、サバが三尾(さんび)

この「尾」は、「しっぽ」を意味する漢字を使っています。魚は一匹と数えることもありますが、特に料理や販売の場面では「尾」が使われます。たとえば、スーパーで「サンマ二尾入り」と書かれていたり、和食店で「鯛一尾を丸ごと煮つけにしました」とメニューにあったりします。

発音にも注意が必要です。「いちお」と読むのではなく、「いちび」、「にび」など、音が変化します。慣れるまでは少し難しく感じるかもしれませんが、料理の場面でよく出てくるので、ぜひ覚えておきましょう。

 

おわりに

日本語の助数詞は、英語や他の言語にはあまりない特徴です。「匹」「頭」「羽」「尾」など、動物を数える助数詞だけでも種類が多く、それぞれ使い分けが必要です。しかし、これらの違いを理解することで、日本語の豊かさや日本文化への理解がより深まります。

日本語学習者にとっては少し難しいと感じるかもしれませんが、毎日の会話やニュース、買い物の中で少しずつ触れることで、自然に身につけることができます。間違えても大丈夫。使ってみることが一番の勉強です。

今日からあなたも、「何匹?」「何羽?」と身の回りの動物を数えて、日本語の助数詞に親しんでみてくださいね。

最後に、助数詞クイズです。楽しみながらやってみてください。

第1問
ねこが2__います。
A. 人 B. 羽 C. 匹 D. 頭

第2問
牛が3__います。
A. 匹 B. 羽 C. 頭 D. 尾

第3問
インコが5__います。
A. 羽 B. 匹 C. 尾 D. 頭

第4問
さかなを2__買いました。
A. 匹 B. 羽 C. 尾 D. 頭

第5問
きりんが1__立っています。
A. 匹 B. 羽 C. 尾 D. 頭

第6問
スズメが6__とんでいます。
A. 羽 B. 匹 C. 尾 D. 人

第7問
犬を3__かっています。
A. 人 B. 匹 C. 頭 D. 羽

第8問
馬が4__走っています。
A. 匹 B. 羽 C. 頭 D. 尾

第9問
ハムスターが2__います。
A. 頭 B. 羽 C. 尾 D. 匹 

第10問
にわとりが1__います。
A. 羽 B. 匹 C. 尾 D. 頭

答えは文章の最後に記載しています。

 

TCJでもっと日本語を学ぼう

様々な助数詞ついて紹介してきましたが、いかがでしたか。「面倒くさい」と思いましたか。それとも「おもしろい」と思いましたか。

最後に、数え方の秘訣を教えます。生き物を数えるとき、死んだときに残るもの、例えば牛や豚は「頭」、鳥は「羽」、魚は「尾」が単位になっています。意味を知ると、今までより興味を持って数えられるかもしれませんね。ぜひ、友達にも教えてあげてください。

TCJのクラスやプライベートレッスンでは、日本人の先生やクラスメイトから直接いろいろな知識が得られます。あなたもTCJで一緒に勉強しませんか?

 

解答
第1問:C. 匹、第2問:C. 頭、第3問:A. 羽、第4問:C. 尾(日常では「匹」も可)、第5問:D. 頭、第6問:A. 羽、第7問:B. 匹(病院などでは「頭」もあり)、第8問:C. 頭、第9問:D. 匹、第10問:A. 羽

9〜10問正解:助数詞マスター!すばらしい!
7〜8問正解:とてもよくできました!あと少しで完璧!
5〜6問正解:いい感じ!あと少し練習しましょう
0〜4問正解:大丈夫!これから一緒に覚えていきましょう

 

この記事の筆者
日本語教師
NakamuraMachiko
日本語学校や国際交流協会、語学スクール、企業などで日本語を教えて約20年。TCJではプライベートレッスンを担当し、最近は技能実習生にも教えている。学習者の「楽しかった」という声が励みになっている。

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