天気や時間を表す美しい日本語を紹介

日本人との会話で「お天気」の話は欠かせません。天気がよく変わる国ですので、挨拶の代わりに「天気」の話をすることが多いからです。日本には「晴れ」「曇り」「雨」「雪」だけではなく、天気に関する言葉がたくさんあります。また、太陽の動きや時間を表す言葉も多いです。天気予報や会話のなかでよく使う「天気」の日本語を紹介しましょう。

 

晴れのち雨 晴れときどき雨 晴れ一時雨

天気が変わりやすい日本。天気予報のチェックは大切です。

天気予報の言葉でよく質問される言い方を紹介しましょう。
「晴れ のち 雨」
「のち」はAのあとでBになるという意味です。晴れていても、そのあとで雨になるという意味です。晴れ⇒雨 です。

「晴れ ときどき 雨」
「ときどき」はsometimes。晴れたり雨になったり、また晴れる。という意味です。晴れ⇒雨⇒晴れ⇒雨⇒晴れ。こんな感じでしょうか。

「晴れ 一時(いちじ) 雨」
「一時」は少しの間という意味です。晴れているけれど、その間に少しの時間雨になるという意味です。晴れ⇒雨⇒晴れ です。

「降水確率(こうすいかくりつ) 80%」
「降水確率」は今日雨が降る確率は何%かということです。降水確率が低ければ晴れ、降水確率が高ければ曇りや雨・雪になります。

 

晴天(seiten)

雲が少なく、空が青いときを「晴天(seiten)」「好天(kouten)」「晴れ(hare)」といいます。

晴れの日の会話フレーズを紹介しましょう。

「今日はいい天気ですね。」
Kyo wa ii tenki desune

「今日は雲一つない青空ですね」
Kyo wa kumo hitotu nai aozora desune

「よく晴れましたね」
Yoku haremashita ne

「今日は快晴ですね。」
Kyo wa kaisei desune

「秋晴れですね。」
Aki bare desune

「快晴(kaisei)」「日本晴れ(nihon bare)」
空に雲が全然なく、青い空の晴れの日のことです。

「五月晴れ(Satsuki bare)」
5月の晴れた日や、雨が多い6月に晴れた日を五月晴れと言います。

「秋晴れ(Aki bare)」10月ごろの晴れた日のことです。
また、「青空(aozora)」は青い色の空のことですが、これも「晴れ(hare)」を指します。

 

曇天(donten)

雲が多く、空の色が灰色のときを「曇天(donten)」「曇り(kumori)」と言います。

曇りの日の会話フレーズを紹介しましょう。

「空が曇っていますね」
Sora ga kumotte imasune

「雨が降りそうですね」
Ame ga furisou desune

「はっきりしない天気ですね」
Hakkiri sinai tenki desune

「すっきりしない天気ですね」
Sukkiri shinai tenki desune

「どんよりした天気ですね」
Donyori shita tenki desune

はっきりしない、すっきりしない、どんよりしたはどれも「晴れ」でもない、「雨でもない」どちらでもないよくわからない天気だと言いたいときに使います。

春は曇りの日が多い季節です。特に3月4月は雨ではないけれど、雲が多く曇りの日が多いです。「春曇り(haru gumori)」は春の曇っている日のことをいいます。特に桜が咲く季節の曇りの日を「花曇り(hana gumori)」と言います。また、晴れではないけれど、雨が降る様子もない薄い灰色の空を「薄曇り(usu gumori)」といいます。

 

荒天(kouten)

雨や雪の日、風がとても強い日など、外に出るのがいやになるような天気を「荒天(kouten)」といいます。日本は雨が多い国ですから、雨の言葉はたくさんあります。雨を表す言葉は400以上もあるそうです。

雨の日の会話フレーズを紹介しましょう。

「雨が降っていますよ。」雨が降る⇒rain
(Ame ga hutteimasuyo)

「雨が止みました。」雨が止む⇒rain is stop
(Ame ga yamimashita)

「雨があがりました」
(Ame ga agarimashita)

「雨上がりに虹が見えますよ」虹⇒rainbow
(Ame agari ni niji ga miemasu yo)

「雨が強くなってきました」
(Ame ga tuyoku nattekimasita)

「雨が小降りになってきました」
(Ame ga koburi ni nattekimasita)

「小雨(kosame)」は弱い雨です。
「大雨(ooame)」はたくさん雨が降ることです。
「にわか雨」(niwaka ame)は、急に雨が降ってきて、すぐに止む雨です。
「通り雨(Tori ame)」、「涙雨(Namida ame)」
少しの間、少しだけ降る雨です。目からこぼれる涙のような雨という言い方はロマンティックですね。
「天気雨(Tenki ame)」空は晴れているのに雨が降っている、不思議な雨です。
「豪雨(gouu)」は洪水になったり、人が歩けないほど強い雨のことです。
「土砂降り(dosha buri)」大雨よりも強い雨を土砂降りといいます。

 

雨が多い季節にだけ使う言い方も紹介しましょう。

「梅雨(tsuyu/baiu)」6月~7月にかけて、雨の日が多い時のことを言います。「梅雨入り(Tsuyu iri)」梅雨が始まる時です。

「梅雨明け(Tsuyu ake)」梅雨が終わる時です。
梅雨が終わる頃には、「雷雨(rai u)」が多く降ります。雨といっしょに雷(kaminari)が鳴ります。

「夕立(yu dachi)」 夏の夕方、急に雨が降るときがあります。強い雨ですが、短い時間でやみます。
夏になると南から「台風(Tai hu)」が来ます。大きい台風のときは、電車が止まったり、学校や会社が休みになることもあります。

「秋雨(aki same)(syu u)」「秋の長雨(aki no naga ame)」
夏の終わり、9月ごろには毎日雨が降ることがあります。

 

このように、日本の一年を見ると本当によく雨が降っていると感じます。
雨が多い日本には「恵みの雨(Megumi no ame)」という言葉があります。
米や野菜を育てたり、草木が育つためにはたくさんの水が必要です。水が必要なときに雨が降ると「恵みの雨ですね。」と言います。日本人にとって雨は時にはとても大切で感謝するものだという気持ちが出ている言葉だと思います。

 

時間を表すことば

朝、昼、夜にもいろいろな言い方があります。
0時~11時59分までが午前(gozen)、12時は正午(syogo)12時~23時59分は午後(gogo)です。

「日の出(hinode)」 朝、太陽が出てくることを日の出と言います。

「朝日(Asa hi)」朝最初に出てくる太陽です。

「日の入り(hinoiri)」「日が沈む(Hi ga shizumu)」「日没(nichibotsu)」「日暮れ(higure)」
昼から夜になるとき、太陽が見えなくなることです。

「夕日(yuhi)」日の入りのときの太陽です。

「明け方(akegata)」「夜明け(yoake)」
朝4時ぐらいから、空が明るくなるまでの時間です。

「早朝(sou cho)」空が明るくなる6時ぐらいから8時ぐらいまでです。

「夕方(yugata)」16時ぐらいから日の入りまでの時間をといいます。晴れている日は空が赤くなってとてもきれいですね。

「夕焼け(yu yake)」夕方の赤い空です。空が赤く焼けている、燃えているという意味です。歌の歌詞や詩にも使われることがあります。

夜の時間の言い方も細かく分かれています。

「夜中(yo naka)」23時頃から2時頃までの時間です。

「深夜(shinya)」0時ごろから2時ごろまでです。

時を表す言葉はほかにもたくさんあります。1000年以上前から使われている美しい言い方もありますので、興味がある方は調べてみると面白いと思います。

 

TCJでもっと学ぼう

今回は天気や時間の言葉のなかでも、私達が日常でよく使う言葉を取り上げました。
日本で生活したことがある外国人の多くはなぜ日本人は天気の話ばかりするのか」と不思議に感じるそうです。学習者さんに「今日は天気がいいですね」「明日も雨だそうですよ」と話しかけると、最初は不思議そうな顔をする方もいます。ですが、日本の生活に慣れてくると「そうですね。明日は海へ行く予定だから晴れるといいです。」と返事を返してくださるようになります。そこから会話が始まることもあります。天気の話も日本の会話文化のひとつだと思います。TCJのクラスは「話すこと」そして他の人の話を「聞くこと」を大切にしています。クラスに入ってたくさん話しましょう。

参考)
日本気象協会   https://tenki.jp/
国土交通省気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/index.html
株式会社ウェザーニュス https://jp.weathernews.com/
NHK放送文化研究ことばの研究 https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/index.html

 

この記事の筆者
日本語教師
Rie Miyashita
2001年から日本語教師の仕事を始める。学習者の「わかった。」という笑顔が嬉しくて、この仕事を続けている。主に日本語学校で、初めての日本語から上級者の日本語まで担当してきたほか、JLPTやEJU対策、進学指導、クラス担任も行う。TCJでは2021年から夜間の社会人クラスを担当している。現在は外国人就労者のための日本語、日本で生活する外国人の日本語、地域の日本語に関心があり、日々の仕事の中で実践中。令和3年 文化庁委託就労者に対する日本語教師【初任】研修修了、令和5年 「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修受講中。

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