コロケーションとは?日本語学習に便利なコロケーション
日本語を勉強している外国の人からよく「言葉が難しいし、多すぎて覚えられません。言葉を覚えるいい方法はありませんか。」という質問をされます。
言葉を覚える方法はいろいろありますが、その中でも最近「効果がある」と言われている方法が「コロケーションで覚える」方法です。
「コロケーション」といっても、あまり聞いたことがない言葉ですね。
今回は「コロケーション」についてお話しましょう。
コロケーションとは
コロケーションの説明をする前に、簡単なクイズをしてみましょう。
A・B、どちらが正しいと思いますか。
(1) 薬 (A:を食べる B:を飲む )
(2)風邪(A::をひく B : をする )
(3)歯を(A:洗う B:みがく )
①の答えは、B:薬を飲む。
②の答えは、A:風邪をひく
③の答えは、B:歯をみがく
です。
「薬を飲む」は決まった言い方です。「薬を食べる」「薬を入れる」という言い方はしません。「薬」と「飲む」はいっしょに使う言葉です。また、「風邪」といっしょに使う言葉は「ひく」なので、「風邪をする」「風邪がある」という言い方はしません。
同じように「歯をみがく」とはいいますが「歯を洗う」とは言わないので、「歯」と「みがく」はいっしょに使う言葉になります。
このように、いっしょに使うことが多い言葉と言葉の組み合わせを「コロケーション」といいます。
少し練習をしてみましょう。
①「テレビ」とよく一緒に使う言葉はなんですか?
テレビ を 見る
テレビ を つける
テレビ を 消す
本 を 読む
本 を 買う
本 を 借りる
などがあります。みなさんは、「テレビ」や「本」と一緒に使う言葉、他にどんなものが思い浮かびますか。
テレビ を 開ける
テレビ を 閉める
本 を 食べる
本 を 聞く
このような言い方は、あまり言いませんし、不自然な感じがしませんか。
この本と開けるのようなつながりはコロケーションとは言いにくいです。
コロケーションが日本語学習に便利な理由
とても簡単なことを言いたいのだけど、「あ、これ、日本語で何と言えばいいのか分からない。」と焦った経験はありませんか。せっかく一生懸命話したのに、決まった言い方がわからなくて相手にうまく伝えられなくて残念な気持ちになったことはありませんか。
コロケーションをうまく使うと、自分が言いたいことが「短く、簡単に、相手に分かりやすく」伝えられるようになります。
コロケーションは「日本語ではこの言い方が自然だ」という言い方です。
またコロケーションで覚えると言葉がたくさん覚えられます。
例えば、 「本」「読む」という二つの言葉を別々に覚えるよりも、「本を読む」という一つのフレーズで覚える方がわかりやすいですし、二つの言葉をいっしょに覚えることができます。
「降る」「止む」だけを聞いて意味が分からなくても、「雨」といっしょに使うと「雨が降る」「雨が止む」のように意味が分かってきます。
そして、コロケーションで言葉を覚えると、似ているけれど意味が違う言葉の意味の違いが分かるようになります。
「向かう」「向く」という動詞も意味の違いがわかりにくい言葉です。
ですが、「向かう」は
駅 に 向かう
西 に 向かう
会社に 向かう
を見ると、場所のほう に 行くという意味だとわかります。
「向く」は
前 を 向く
上 を 向く
友だちのほう を 向く
のように、動かないで その方向 に 正面が来る・顔が来る ようにするという意味だとわかります。
このように、似ているけれど意味が違う言葉も、コロケーションを使うと意味の違いが分かりやすくなります。
コロケーションの例
では、生活の中でよく使われるコロケーションの例を紹介しましょう。
ひげ を 剃る(そる)
ひげを切るとはいいません。ひげを剃(そ)るといいます。
ひげを剃(そ)る道具(どうぐ)はカミソリといいます。
ひげ を 生(は)やす
ひげ を 伸(の)ばす
最近は日本でもひげを長くする人が増えてきました。
朝ひげを剃(そ)ったけれど、夕方になるとひげが
長くなったときは
ひげ が 伸(の)びる
と言います。
髪(かみ) を 乾(かわ)かす
髪(かみ)を乾(かわ)かす、ブローすると言います。髪(かみ)を乾(かわ)かす道具(どうぐ)は、ドライヤーといいます。
その他に、
ヘアスタイル を 整(ととの)える
髪型(かみがた)を 整(ととの)える
ヘアスタイル を セットする
クリーム を 塗(ぬ)る
手/顔/足 に クリームを塗(ぬ)る
口紅(くちべに)を塗(ぬ)る
日焼け止め(ひやけどめ)を塗(ぬ)る
その他に
パンにバターを塗(ぬ)る
壁(かべ)にペンキを塗(ぬ)る
寝(ね)ぐせ が つく
起(お)きたときに髪(かみ)の毛(け)がきれいになっていない状態を「寝(ね)ぐせ」がついているといいます。
汗(あせ) を かく
汗(あせ)が顔や体に出てくることを言います。
涙(なみだ)が 出る
目から涙(なみだ)が出てくることはいろいろな言い方があります。
涙(なみだ)が 流れる/涙(なみだ)を 流す
涙(なみだ)が こぼれる/涙 を こぼす
涙(なみだ)がにじむ
肩(かた) が こる
長い時間パソコンを見たり同じ仕事をしていて肩が硬くなること、痛くなることを言います。
化粧(けしょう) を する
メイク を する
化粧(けしょう)が くずれる
化粧(けしょう)を なおす
化粧(けしょう) を おとす
メイク を おとす
クレンジングする
TCJの講師から
「話していることが相手にうまく伝わらない」「会議のときに意見を言っても分かってもらえない」。こんな悩みはありませんか?「相手に分かってもらえないストレス」を減らすには「短く、簡単に、わかりやすく伝える」言い方をたくさん覚えることが近道です。そのために、レッスンではまず、自分が考えた通りに話してみてください。それを聞いた講師がみなさんの言いたいことを「短く、簡単に、わかりやすく」伝える言い方を探って提案します。TCJのレッスンで「聞く人に伝わる日本語」体験をしましょう。