JLPT N2とは

JLPT、日本語能力試験（にほんごのうりょくしけん）という日本語の試験について聞いたことがあるでしょうか。

日本語能力試験は日本語を母語としない人の日本語能力を測り、日本語の力がどれだけあるかを認定する試験です。日本だけでなくいろいろな国で行われており、日本語の試験としては規模が最も大きく、日本語を勉強する人にはよく知られている試験です。

試験は一番簡単なN5から一番難しいN1までに分かれています。今回は、その中でも2番目に難しいけれど、多くの人が目標にしているN2レベルの試験について説明します。

JLPT N2は「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル」だといわれています。つまり、N3レベルまでの日常会話＋簡単なビジネス日本語、会社の中で同僚とコミュニケーションができる、あるいは仕事の打ち合わせやミーティングができることが求められます。

JLPTで測る日本語能力は、大きく分けて「読む」「聞く」の2項目です。

新聞や雑誌の記事、解説、簡単な表論文、わかりやすい説明文を読んで内容を理解できることが求められます。ここで大切なことは、文を読んで自分の意見や考えを持つことではなく、文に何が書いてあるかがわかることです。

「聞く」テストでは自然に近いスピードの会話やニュースを聞いて、話の流れや内容が分かること、出てくる人物の関係が理解できることが求められています。ニュースを聞いて、その内容が簡単にまとめられるかどうかが必要になります。

会社の求人などをみると、外国人社員が社内で日本語のコミュニケーションを必要とする会社では「ビジネス日本語ができること｜が日本語能力の条件になっているところが少なくありません。

この「ビジネス日本語ができる｜の目安の一つになるのがJLPTN2を取得しているかどうかといえます。ですので、転職を目指している人、高度人材ビザの取得を目指している人、社内で管理職やマネージャーのポジションを目指している人など、仕事でのステップアップのひとつとしてJLPTN2の取得を目指す人が多いことがJLPTN2を受験する人の特徴のひとつと言えると思います。

JLPTN2を取得すると、会社で通用するビジネス日本語の能力を証明することができます。履歴書に書くこともできるので、就職や転職の際に有利になることもあります。

また、2025年度の試験から成績表にCEFRというヨーロッパで使用されている外国語の運用基準でどのレベルかが記載されます。このCEFRが記載されることで外国に行っても、海外資本の会社に対しても日本語能力を証明することができるようになります。

高度人材ビザ取得を目指す人は、N2に合格すると10ポイントがつきます。ポイントの合計が70点以上の場合には、出入国管理上の優遇措置が与えられます。

JLPT N2に合格するために、勉強するときに次のことに気を付けるといいと思います。

JLPTN2はN5～N3とちがい、語彙知識（文字・語彙・文法）と読解を同じ時間内105分で行います。N5～N3までは語彙知識と読解は時間が分かれいていたので、注意が必要です。語彙知識に時間をかけすぎると読解の時間が無くなってしまいます。語彙知識は30分～40分以内で終わらせ、読解の問題を解く時間を確保しましょう。

N2の勉強をするときに、どの問題でも答え合わせをしたあとで間違えたところは、何を間違えたのか確認しておきましょう。間違えたところを確認しておけば、試験のときには正しく答えられます。

JLPT N2の試験は、言語知識（文字・語彙・文法）＋読解が105分、聴解が50分です。総合得点は180点です。90点以上が合格です。ただし、言語知識、読解、聴解それぞれで60点満点中19点以上取らなければ合格にはなりません。

一つでも受験しない科目があれば不合格になるので注意が必要です。

では、どのような問題が出るのかを詳しく見ていきましょう。答えはコラムの最後に書いてあります。

1.    漢字の読み（漢字の正しい読み方を選ぶ問題です。）
　　の言葉の読み方として最もよいものを、選択肢のなかから選びなさい。
この缶はもえないごみの日に出してください。
①びん　　②かい　　③かん　　④さん

2.    表記（語彙の正しい読み方を選ぶ問題です。）
　　の言葉を漢字で書くとき最もよいものを選択肢のなかから選びなさい。
明日までにレポートを提出してください。
①たいしゅつ　②たいで　　③ていしゅつ　　④ていだし

3.    語形成（語彙を完成させる問題です。N2だけで出題されます。）
（　　　　）に入れるのに最も良いものを、選択肢のなかから選びなさい。
彼はまだ（　　　）成年なので車の運転免許が取得できない。
①無　　　②不　　　③好　　④未

4.    文脈規定（文を読んで意味が通じるものを選ぶ問題です。）
（　　　　）に入れるのに最も良いものを、選択肢のなかから選びなさい。
11時から14時までエレベーターの（　　）をしますのでご使用できません。
①点検　　②計画　　③対策　　④実施

5.    言い換え意義（意味が似ている言葉を選ぶ問題です。）
　　の言葉に最も意味が近いものを、選択肢から選びなさい。
これは明日までに仕上げましょう。
①改善し　　②報告し　　③完成し　　④解体し

6.    用法（言葉の使い方で正しいものを選ぶ問題です）
次の言葉の使い方として最もよいものを、選択肢のなかから一つ選びなさい。
出張
①夕飯を作るのが面倒だからなにか出張を頼もう。
②明日は名古屋に出張するので一日会社にはいません。
③ここのところ毎晩遅くまで出張していてちょっと疲れ気味なんだ
④子どもに「どこかへ行こう」と言われて、温泉に出張することにした。

1.    文の文法（文法形式の判断　正しい接続詞や副詞などを選ぶ問題です）
次の文の（　　　）に入るのに最も良いものを選択肢のなかから選びなさい。
雨が強くなってきた。（　　　）、強い風まで吹いてきて傘もさせない。
①それで　　②つまり　　③しかも　④むしろ

2.    文の文法2（文の組み立て　文が成り立つように並べ替える問題です）
次の文の　★　に入る最もよいものを選択肢のなかから一つ選びなさい。
ルールを　　　　　　　　　　　　★　　　　　　　吸うべきではない。
①歩きながら　②にしても　③たばこを　④知らなかった

3.    文章の文法
短い文章の中で（　　　）に入る語彙、接続詞、文型を選ぶ問題です。読解のように思える問題ですが、問題の内容は文法に関係があるものです。

1 .   短文問題（10行以内、2段落以内です。問題は1、2問です）
2.    中文問題（20行以内　3段落程度です　問題は1、2問です）
3.    統合理解（2つの文を読み問題に答えます。2つの文を比較して答えを探します）
4.    長文問題（20～40行　5段落以上です　問題は2~4問です）
5.    情報検索（メールやお知らせを読み質問の答えを探します）

1.    課題理解（絵や図を見ながら問題を解きます。）
　   説明と質問→問題を聞く→質問を聞く→答えを選ぶ
2.    ポイント理解（印刷してある選択肢から答えを選びます。）
   　説明と質問→選択肢を読む→問題を聞く→質問を聞く→答えを選ぶ
3.    概要理解（問題も選択肢も聞いて答えを選びます。印刷された選択肢はありません。）
　   説明を聞く→問題を聞く→質問を聞く→答えを選ぶ
4.    即時応答（短い文を聞いてそれに対する返事を選びます.1対1の会話です。）

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言語知識
1→③、2→③、3→④、4→①、5→③、6→②
文法
1→③、2→①