日本語教師が教える!間違いやすい日本語表現まとめ「どうも」と「どうぞ」、「です」と「ます」

「今朝はたばこ(tabako)を食べましたよ。」
「わたしのにく(niku)はきれいですよ。」
「わたしの会社は銀座(ginza)のビール(beer)にあります。」

日本語学習者との会話でびっくりすることがときどきあります。

これは、「たばこ(煙草 tabako)」と「たまご(卵 tamago)」、「にく(肉 niku)と「くに(国 kuni)」、「ビール(beer)」と「ビル(building)」という言葉を間違えただけなのですが、少し言い方が違うだけで意味が違うということがたくさんあります。

言葉の間違いだけでなく、言い方が違うと意味が違うものもたくさんあります。今回は日本語学習者が話したり勉強しているのを見聞きしていて、間違いやすいと感じる表現をいくつか紹介しましょう。

 

「エミと呼んでもいいです」

最初に、自己紹介をするときに間違いやすい言い方を二つ紹介します。

「はじめまして。ヤマダエミです。エミとよんでもいいです。どうもよろしく。」

どこが違うかわかりますか?

まずニックネームを相手に伝えるときは「エミと呼んでもいいです。(Emi to yondemo iidesu)」ではなく「エミと呼んでください。(Emi to yondekudasai)」がいいと思います。

「~てもいい」は相手に許可を与える言い方なので、「エミと呼んでもいいです」は “You can call Emi.” と相手に、わたしのことをエミと呼んでもいいよという言い方になってしまいます。「エミと呼んでください」は “Please call me Emi.” なのでこちらのほうが相手に分かりやすい言い方になります。

相手にニックネームを聞くときは、「ケンさんと呼んでもいいですか?(ken san to yonndemo iidesuka)」のように「~てもいいですか」といいます。「~てもいいですか」は相手に私は~をするけれどOKですか、と許可を求める言い方になります。

次にこちらから「よろしく」というときは「どうも(doumo)」ではなく「どうぞ(douzo)」をつかいます。

A:「はじめまして、どうぞよろしく。(hajimemashite douzo yorosiku)」
B:「こちらこそ、どうもよろしく。(kochirakoso domo yorosiku)」

A:「これ プレゼントです。どうぞ。(kore present desu Douzo)」
B:「どうもありがとうございます。(doumo arigato gozaimasu)

のように、最初に声をかけるほうが「どうぞ」、返事をするほうが「どうも」を使います。

 

「課長、私のレポートをチェックしてもいいです」

「してもいいですか」「してもいいです」「してください」の話をもう少し続けます。「してもいいですか」は「私はしたいです、あなたは許可しますか」と許可を求める言い方です。「してもいいです」は「あなたがすることを私は許可します」という言い方です。

そして、「してください」は「あなたはします。お願いします。」と相手に頼む言い方です。
ですから、「課長、私のレポートをチェックしてもいいです(kacyo watashino report wo check shitemoiidesu)」は、私のレポートを見てもいいよという言い方になってしまいます。

「課長、私のレポートをチェックしてください。(kacyo watashino report wo check shitekudasai)」が正しい言い方です。「~てもいいですか」と「~てください」で間違えやすいものが、人に物を借りるときの言い方です。

「ペンを貸してください(pen wo kashite kudasai)」と「ペンを借りてもいいですか(pen wo karitemo iidesuka)」はどちらも同じ意味ですが、「ペンを借りてください(pen wo karite kudasai)は意味が変わります。人に何かを借りるときは「貸してください(kashitekudasai)」「借りてもいいですか(karitemoiidesuka)」のどちらかを覚えておくと便利です。

 

「おなかがすきです?」

「です」を使うか「ます」を使うかで意味が変わるものを二つ紹介しましょう。

①「朝から忙しくて何も食べていません。お腹がすきです。」
(asa kara isogashikute nanimo tabeteimasen. Onakagasukidesu)
これを聞いた人はびっくりしますよ。このフレーズの意味はI like my stomach.ですから、そんなにすてきなお腹なら見せてくださいと言う人もいるかもしれません。
正しい言い方は「お腹がすきました(onaka ga sukimashita)」です。

②「今日は休みます」と「今日は休みです」
(kyo wa yasumimasu) (kyo wa yasumidesu)も意味が違います。

「頭が痛いので今日は休みます」
(atama ga itainode kyo wa yasumimasu)

「国へ帰るので2週間休みます」
(kuni e kaerunode nisyukan yasumimasu)

上記のように、自分で休むことを決めるときは「休みます(yasumimasu)」を使います。

「私の会社は土日が休みです。」
(watashi no kaisya wa donichi ga yasumidesu)

「図書館へ行ったけれど休みでした。」
(toshokan e ittakeredo yasumidesita)

上記のようにスケジュールが決まっている休みのことを言うときは「休みです(yasumidesu)」を使います。

 

「食べるがほしいです」

「ほしい(欲しい hoshi)」はwantの意味です。物が欲しいときは「~が欲しい」をつかいます。「パンが欲しい (pan ga hoshi)」、「お金が欲しい(okane ga hoshi)」、「仕事が欲しい (shigoto ga hoshi)」などです。

では、パンを食べます + 欲しいというときは何と言いますか。「パンを食べますが欲しい(pan wo tabemasu ga hoshi )」でしょうか。

正しい言い方は「パンが食べたい(pan ga tabetai)」です。「パンを食べますが欲しい」でもほとんどの人は意味が分かりますが、子どものような印象をうけます。会話の中では「動詞ます + たい」を使いたいです。
「水が飲みたい(mizu ga nomitai)」、「恋人に会いたい(koibito ni aiti)」、「転職したい(tensyoku shitai)」

「~がほしい」「~がしたい」が上手く使えるようになると、自分の言いたいことがたくさん言えるようになると思います。

 

「結婚します」

最後は、「します」「しています」「しません」「していません」の話です。

A:「私、結婚します(watashi kekkon shimasu)」
B:「おめでとうございます。いつですか(omedeto gozaimasu itsudesuka)」

A:「3年前です?(san nen mae desu)」
B:「3年前?・・・・そうですか(san nen mae ・・soudesuka)」

「結婚します」の「します」はまだしていない、これからするという意味です。ですから、Bさんは「いつ結婚しますか」と聞いたのです。Aさんの正しい言い方は「結婚します(kekkon shimasu)」ではなく「結婚しています(kekkonshiteimasu)」になります。

「~します(shimasu)」は今からする、これからするという意味です。
「~しています(shiteimasen)」は今その状態にあるという意味です。
「~しません(shimasen)」は私はそれをする意志がないということを言いたいときです。
「~していません(shiteimasen)」は今まだその状態にないという意味です。

「住みます(sumimasu)」を使った例です。
「来月から、東京に住みます(raigetu kara Tokyo ni sumimasu)」
「去年から 東京に住んでいます(kyonen kara Tokyo ni sundeimasu)」
「東京は家賃が高いです。東京に住みません。(Tokyo wa yachin ga takai desu.Tokyo ni sumimasen)」
「東京に住んでいません。埼玉に住んでいます。(Tokyo ni sundeimasen. Saitama ni sundeimasu)」

 

TCJでもっと学びましょう

今回の「間違えやすい日本語」は少し難しかったかもしれません。言い方が似て、分かりにくいフレーズは他にもたくさんあるのですが、その中でも日本語学習者さんが本当によく間違える言い方、間違えることで誤解されることがあったり、印象を悪くしてしまう言い方を取り上げました。読んでいて「どうして違うの?」「他の言い方もありますか?」と思った日本語学習者もたくさんいると思います。ここでは書ききれない「どうして違うのか」という理由はぜひクラスに来てご質問ください。講師はできるだけわかりやすく、納得できるように答えたいと心がけています。クラスで講師といっしょにレッスンすることの一番のメリットは「質問できること」だと思います。講師もみなさんからどんな質問がでてくるのかドキドキしながらも心待ちにしています。

「間違えやすい日本語」。実は他にもたくさんあります。似ている動詞などの違いも日本語学習者が知りたいことだと思います。クラスでは、丁寧に学習できますよ。お待ちしています。

 

この記事の筆者
日本語教師
Rie Miyashita
2001年から日本語教師の仕事を始める。学習者の「わかった。」という笑顔が嬉しくて、この仕事を続けている。主に日本語学校で、初めての日本語から上級者の日本語まで担当してきたほか、JLPTやEJU対策、進学指導、クラス担任も行う。TCJでは2021年から夜間の社会人クラスを担当している。現在は外国人就労者のための日本語、日本で生活する外国人の日本語、地域の日本語に関心があり、日々の仕事の中で実践中。令和3年 文化庁委託就労者に対する日本語教師【初任】研修修了、令和5年 「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修受講中。
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