EJU(日本留学試験)とは
「EJUとJLPTは何が違いますか。」主に留学生として日本語学校などで勉強している学習者から出てくる質問です。
EJUは日本留学試験という試験のことです。外国人留学生として、日本の大学(学部)や大学院などに入学を希望する人を対象にした試験です。外国人が専門学校、大学、大学院などに進学した場合、その学校での授業や生活に必要な日本語力や基礎学力を持っているかどうかを評価する目的で実施される試験です。
大学などに進学するために必要な試験なので、日本で働いている方や特に進学を考えていない方には関係のない試験ですが、お子様など日本で進学を考えている人が周囲にいらっしゃる場合には参考にしてください。
試験の概要
EJU(日本留学試験)は年に2回、6月と11月に行われます。受験料は1科目の場合は10,000円、2科目以上受験する際は19,000円です。
試験の申込は試験の3か月前に締め切られます。申し込みの締め切りが早いので注意が必要です。日本国内受験の場合はオンラインで申し込みます。EJUオンラインを確認してください。
試験は、日本語、数学Ⅰ・Ⅱ、理科、総合科目です。
日本語の試験は日本語だけで受験します。日本語以外の試験は日本語と英語のどちらかを選択することができます。
自分が受験する大学が指定している科目を受験します。ですから、EJUを申し込む前に受験する大学を決めて、どの科目を受験しなければならないかを調べておきましょう。
日本語
日本語の試験について説明しましょう。日本語の試験は、記述(30分)→読解(40分)→聴解・聴読解(55分)の順番で行われます。記述50点満点、記述以外が400点満点で、合計450点満点です。
記述は手書きの小論文、読解・聴解・聴読解はマークシート方式です。文法や語彙という項目の試験はありません。聴読解はJLPT(日本語能力試験)にはない試験内容です。音声を聞きながら資料を見て問題に答える試験です。小論文は2つのテーマのうち1題を選択し、指定された文字数(今までは400字でした)で書きます。
数学
数学はⅠ・Ⅱのどちらかを選択します。文系や数学をあまり必要としない学部を受験する人はⅠ、数学を高度に必要とする学部を受験する人はⅡを選択します。どちらを選ぶかは、受験する学校の入試要項を確認してください。
理科
理科は主に理系の学部に行きたい人が受験します。物理、化学、生物の3科目の中から2科目を選択します。
総合科目
総合科目は主に理系、社会学系の学部に行きたい人が受験します。文系の基礎的学力、特に思考力、論理的能力の力を測る問題内容になっています。出題範囲は近現代(19世紀以降、1800年代後半)に関するものがほとんどです。
理科、総合科目、数学の問題内容は2026年1回目(6月)から少し変更することが発表されています。
EJU(日本留学試験)の受験が必要な学校
入学試験のためにEJU(日本留学試験)が必要な学校は、大学では983校のうち約半数の494校(2024年度)となっています。特に国立大学、公立大学では約73%の大学でEJU(日本留学試験)を利用しています。国立大学、公立大学を受験する人には必要な試験だといえます。
また大学院でも国立公立私立を合わせて77の大学院でEJU(日本留学試験)を利用しています。
試験会場は日本国内でも30か所前後で、JLPT(日本語能力試験)に比べると会場数が少なくなっています。また、海外ではアジアで13か所前後の受験会場があります。
外国人が日本の大学を受験すること
日本の大学に入りたい外国人のために、多くの大学は外国人のための入学試験を実施しています。この試験の内容はそれぞれの学校によって違います。学校によっては、EJU(日本留学試験)の他に学校の試験、面接試験をする学校や、英語の試験(TOEFL、TOEICなど)の点数を提出するところもあります。また、学校によっては出願するときにEJU(日本留学試験)の点数を〇点以上必要だという条件を出している学校もあります。
大学等の進学を希望する学習者の中には、「EJUの結果を見てから志望校を決める」という方もいらっしゃいますが、これはあまりおすすめできる方法ではありません。まず、行きたい学校を決めてからEJU(日本留学生試験)を申し込むようにしましょう。
その理由は二つあります。
1) EJU(日本留学試験)は6月と11月の2回あり、どちらかいい結果を提出することができます。しかし、試験の結果は6月の試験は7月の下旬、11月の結果は12月の中旬に出るので、学校の入学試験の申し込みに間に合わないことがあります。
2) 学校によってEJU(日本留学試験)の試験科目が違うので、先に学校を決めておかなければ、受験に必要な科目を受験しなかったり、不要な科目を受験してしまうという可能性もあります。
EJUの勉強方法は?
EJU(日本留学試験)は日本語の知識を問うものではなく、日本の大学で大学生活が順調に送れる日本語の力があるかどうかを測る試験です。
総合科目、理科、数学は日本の高校で勉強する内容をもとに試験問題が作られます。EJU(日本留学試験)の参考書や問題集もたくさん出ていますが、日本の高校生用の参考書を勉強するといいと思います。
日本語の試験勉強のポイントは3つあります。
1つはどのような問題があるかを知ることです。過去問をやってみることがおすすめです。過去問は毎年発売されているので、2年分ぐらいをやってみるといいと思います。
2つめは読む、聞くことを練習することです。日本語読解だけでなくすべての科目で速く読み、答えを考える時間を確保することが大切なので、日本語の文を速く読む練習や聞いてすぐに理解できる練習をしたほうがいいと思います。問題集で勉強するだけではなく、ニュースを読んだり聞いたり、いろいろなジャンルの本を読んだほうがいいです。読む練習では、ニュースを読むことをおすすめします。NHKやWEBサイトのニュース(A4を1枚分ぐらい)を3分から5分ぐらいで読み、何が書いてあるかを簡単にまとめる練習をするといいと思います。
聞く練習はPodcastやラジオを聞くという方法がいいと思います。ラジオはwebサイトでも簡単に聞くことができます。視覚に頼らないで、聞いて理解する練習をしましょう。
3つめは記述です。EJU(日本留学試験)の記述は自分の考えや意見を書く文です。次のような構成で400字程度を30分で書く練習をしましょう。
1) 自分の意見や立場をはっきり示す
2) 1)の意見の理由を書く
3) 1)の具体例を書く
4) 別の意見や視点を書く(反対意見を書く)
5) まとめ 自分の意見をもう一度はっきりさせる
書いたものは日本語母語話者に添削してもらうといいと思います。漢字の書き間違いや助詞の間違い、文型の使い方のミスがマイナス点になることも多いからです。
TCJで学ぼう
今回はEJU(日本留学試験)について簡単に説明をしました。何年か働いたあとで大学や大学院に進学する人も増えています。進学を考えたときには最初に行きたい学校でどんな試験があるかを調べてくださいね。
大学や大学院などへの進学は最初の情報収集が鍵になります。そして、問題集や参考書だけではなく幅広い視野で勉強することも大切です。どんな勉強をしたらいいのか迷ったときにはぜひTCJの講師にも相談してみてください。どんな勉強でも続けていくことが大切。楽しく日本語の学習が続けられるようにTCJでは様々な工夫をしています。ぜひ一緒に勉強しましょう。
参考
2025年度日本留学試験(第1回)受験案内
https://eju.tw/upload/downloadData/202501241329421vUo.pdf
JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)
https://www.jasso.go.jp/ryugaku/eju/index.html
JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)EJUオンライン
https://www.jasso.go.jp/ryugaku/eju/ejuonline/index.html