日本語能力を測る試験、日本語能力試験(JLPT)とは?

日本語を勉強する人が、どのくらい日本語能力があるかを測るテストはいろいろあります。その中で一番大規模で、有名なテストが日本語能力試験・JLPT(The Japanese-Language Proficiency Test)です。国際交流基金(Japan Foundation)と日本国際教育支援協会(Japanese Educational Exchages and Services)が主催しています。

 

JLPTとは

JLPTは日本語を母語としない人の日本語力を測定する試験です。JLPTテストは日本語が母語(ぼご)ではない人なら国籍、性別、年齢を問わず誰でも受験できます。

2023年12月の試験では、受験者数は663,295人、合格者は234,754人でした。受験者の35.5%ぐらいが合格したテストです。このテストは、一年に2回7月と12月に実施されるテストです。(大抵7月第一週の日曜日、12月第一週日曜日に行われています)。試験はN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルに分かれています。N1が一番難しく、N5が一番易しい問題になっています。

 

それぞれのレベルの基準は次のようになっています。

N1:  幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
・日本語での交渉ができる。
・日本語でレポートが書ける。
・医師、看護士などの国家試験の受験資格が得られる。
・ディスカッションができる。
・社内での昇格昇給の際に有利になる。

 

N2: 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
・社員、契約社員の採用基準になる。
・社内のビジネスコミュニケーションができる(簡単な打ち合わせ、調整など)。
・会議などで話の流れが理解できる。

 

N3: 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
・自分の気持ちが伝えられる。
・飲食店、コンビニ、介護などコミュニケーションが必要な仕事ができる。

 

N4: 基本的な日本語を理解することができる。
・簡単な仕事の指示がわかる
・趣味、予定、食べ物などの話ができる
・スケジュールが言える、他の人のスケジュールがわかる
・在留資格「特定技能」の取得に必要

 

N5: 基本的な日本語をある程度理解することができる。
・あいさつ、買い物などができる、自己紹介ができる

 

JLPTは、どれだけ知識があるかというだけではなく、その知識を使ってどのくらいコミュニケーションができるかを測るテストです。知識を測るテストは、言語知識(文字、語彙、文法)です。日本語のコミュニケーション力を測るテストは読解、聴解です。

テストはマークシート方式で、4つまたは3つの答えの中から正しい答えを選び、鉛筆で枠を塗りつぶします。今のところ作文のテストや書くテスト、会話のテストはありません。どのレベルも180点満点です。合格点はレベルによって違いますが、100点以上とれれば合格する可能性が高いテストです。文字語彙文法が60点、読解が60点、聴解が60点ですが、どの科目も19点以上取らなければ合格できません。文字語彙文法と読解が満点で120点でも、聴解が0点だと不合格になってしまうので、注意が必要です。

 

JLPTに合格するメリット

JLPTに合格する最大のメリットは、就職や転職に有利になることが多いことです。どんなに日本語が上手でも、日本語の力を証明できるものがなければ日本語能力をアピールすることは難しいです。JLPTに合格すれば、自分の日本語力を証明することができます。N1やN2を取得していることを履歴書に書けば企業にも日本語の力を客観的に伝えることができます。日本で就職したり、転勤で日本で働くことになった場合、採用条件としてJLPTのN2を受験して合格することを条件にしている企業も多いのです。また、会社に入ってからも昇格昇給するために、あるいは仕事の幅を広げるためにJLPTの試験を受ける人も増えています。

日本の企業ならどんな業種、分野の会社でもJLPTの資格を活用することができます。その需要は年々増えています。高度専門職になると出入国在留管理上の優遇措置を受けることができますが、この在留資格を得るためにJLPTN1、N2を取っておくと有利になります。高度専門職になるために70ポイントが必要とされるなかで、N1をとれば15ポイント、N2をとれば10ポイントが加算されるからです。

在留資格や日本の国家試験を受けるときの条件としてJLPTが必要になる場合もあります。例えば、医師などの医療系の国家資格の受験をするときには、N1に合格しておくことが条件になります。また、2019年から始まった特定技能(SSW)の在留資格を得るためには、N4以上が必要になります。

大学院、大学、専門学校に進学するときも、JLPTに合格していることが条件になることがあります。学校にもよりますが、大学院はN1、大学はN2以上、専門学校はN3以上が目安になります。

JLPTの合格証明書は自分の日本語能力を証明でき、アピールできるものですから、ぜひ取得されることをお勧めします。

 

JLPTはどこで受験できる?

JLPTは日本の各都道府県の大きい都市で受験できます。また、国外でも90か国以上の国で試験が実施されています。申し込みをするときに、どこに住んでいるかを申請します。住んでいる場所から近いところが受験の会場になることが多いです。受験会場は広く、受験者数も多いので、受験票が届いたら、受験会場を確認しておく必要があります。

国外で受験する場合は、各国のテスト実施機関に申し込みをします。一年に1回しか試験がない場合、全部の級が受験できない場合もあるので、注意が必要です。

 

申し込みと費用

日本で申し込むときは、インターネットで申し込みます。インターネットで「MY JLPT」に登録してから申し込みます。
MY JLPTは申し込みをするときはいつも使うので、IDとパスワードをメモしておきましょう。

参考:日本語能力試験 JLPT

受験の費用は7,500円です(消費税込)。クレジットカード、銀行振込、コンビニで支払う方法があります。海外で受験する場合は、国によって申し込みの方法が違います。

参考:日本語能力試験JLPT 海外の実施都市・実施機関一覧

 

TCJでJLPTの勉強をするメリット

TCJでJLPT試験の勉強をする一番のメリットは「効率よく勉強できる」ことです。JLPT試験は出題の傾向も問題内容もある程度決まっている試験です。出題の傾向や問題の内容がよく分かっている講師が授業をするので、無駄なく、早く正確に答えが分かるようになります。「独学で勉強してきたけれど、わずかに点数が足りなくて合格できなかったからTCJに来た」という学習者さんもかなりいらっしゃいます。独学だとJLPTの勉強のために何をしたらいいのか、何をしなくてもいいのかが分かりづらいことがあります。TCJでは、どのように問題を解いたらいいのかが分かるようにポイントを押さえてレッスンをしています。

二つ目のメリットは「質問ができる」ことです。オンラインレッスンでも、教室での対面レッスンでも、講師が一方的に説明することはありません。質問をしたり、問題を解いたり、例文を作ってみることで分からないことをその場で解決することができます。答えを間違えたときに、「なぜ間違えたのか」を理解しておくことはとても大切です。「どうして私の答えは違うのか。」という質問にもお答えしています。

三つ目のメリットは学習者さんが「JLPT受験の学習を続ける」ことをサポートしていることです。仕事をしたり、外国で生活をしたりしながら日本語の学習、試験勉強を続けていくことは本当に大変です。学習者さんの目標が達成できるように、「続けられる」様々な工夫をしています。週5日午前中、会話やコミュニケーションもしながらJLPT対策をしているクラス、仕事が終わった夜間に週一度集中してJLPT対策をするクラスなど、生活に合わせたクラスが選べます。オンラインと教室での対面授業を同時に行っているので、どこからでも受講が可能です。また、N5からN1に対応したきめ細かなコース設定もしています。スタッフ、講師が連携して、学習者一人一人が学習を続けられる環境づくりに気を配っています。

JLPTは合格しておいて損をすることはない資格です。まずは、受験の申し込みをしましょう。そして、今からすぐにでも始めましょう。
JLPT対策初めの一歩からTCJが学習者さんに寄り添います。

 

この記事の筆者
日本語教師
Rie Miyashita
2001年から日本語教師の仕事を始める。学習者の「わかった。」という笑顔が嬉しくて、この仕事を続けている。主に日本語学校で、初めての日本語から上級者の日本語まで担当してきたほか、JLPTやEJU対策、進学指導、クラス担任も行う。TCJでは2021年から夜間の社会人クラスを担当している。現在は外国人就労者のための日本語、日本で生活する外国人の日本語、地域の日本語に関心があり、日々の仕事の中で実践中。令和3年 文化庁委託就労者に対する日本語教師【初任】研修修了、令和5年 「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修受講中。

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