日本人は親のことを何と呼ぶ?

日本語を少しでも勉強したことがある人は、親を呼ぶときの言い方である「お父さん(おとうさん)、お母さん(おかあさん)」という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

でも、日本語の授業では「父、母」という言い方を勉強したし、先週見た映画では「おやじ、おふくろ」と別の言い方も使っていて、どれが正しいのかわからない!という方がいるかもしれません。

この記事では、たくさんある「日本語での親の呼び方」について解説していきます。

 

お父さんとお母さんのことを何と呼びますか? 一つの言語に、呼び方は一つだけ?

みなさんは、母語で自分の親を呼ぶとき、どう呼びますか。その呼び方は、みなさんの国の全員が、同じように使っていますか。

日本人は、自分の親を呼ぶとき、本当に「お父さん」「お母さん」と呼んでいるのでしょうか。正解は、YESであり、NOでもあるんです。私自身は、父を呼ぶときは「お父さん」、母を呼ぶときは「お母さん」と言っていますが、実際には、年齢や住んでいる場所、また親との関係をどのように考えるかによって、その言い方は様々なんです。

でも、これは日本語だけではありませんね。きっとみなさんの国の言葉でも、色々な言い方があると思います。例えば、英語でも、father、dad、daddy、そしてmother、mom、mommyのように言い方は一つではありませんよね。日本語もそれと同じです。

それでは、日本語の親の呼び方には、どんなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

 

実は日本語には、親の呼び方がたくさんある!

日本語で自分の親のことをどう呼ぶかは、人によって違います。これは、次のようなことが関係しています。

・話している人の年齢

・住んでいる地域

・考え方

 

日本語で、一番スタンダードな言い方は「お父さん」「お母さん」です。

でも小さい子どもは、発音しやすいこともあって「パパ」「ママ」と呼ぶことがあります。ただ、大人になってからも「パパ」「ママ」と呼んでしまうと、少し子どもっぽく聞こえるので、大きくなってからは「お父さん」「お母さん」に言い方を変える人も多いようです。

また、住んでいる地域によっても変わります。例えば大阪や京都など、関西地方に住んでいる人は「おとん」「おかん」と言うことがあります。これは関西の方言ですので、東京など関東地方では、あまり使いません。ちなみに、私は京都出身ですが「おとん」「おかん」は使いません。あまり丁寧じゃない感じがするからです。でも、私の弟は「おとん」「おかん」と呼んでいます。

さらに、その人の考え方が反映されることもあります。例えば、男の人が、お父さんのことを「おやじ」、お母さんのことを「おふくろ」と言うことがあります。これは少し古い言い方で、今はあまり使いませんが、ドラマや映画ではまだ聞くことがあります。男性らしい言い方ですので、そういった表現が自分にあっている、と考えれば使うこともあるでしょう。

このように、日本語には親を呼ぶたくさんの呼び方があるので、どれが正しい、どれが間違い、ということはありません。自分の家族や周りの人が使っている呼び方が、その人にとっては当たり前なのです。

 

日本語の初級テキストには何と書いてある?

みなさんが使っている日本語の教科書には、どのように書いてありますか。ここではまず、「父↔︎お父さん」「母↔︎お母さん」の違いを確認しましょう。

 

・父(ちち)/母(はは)

 他の人に、自分の家族について話すときに使います。
(例)私の父は、会社員です。/母の名前は、まゆみです。

 

・お父さん/お母さん

[1]他の人の親について話すときに使います。
(例)山田さん、お父さんのお仕事は 何ですか。/木村さんのお母さんは、学校の先生です。
 

 [2]自分の親を呼ぶときに使います。
(例)お父さん、おかえり!/お母さん、今日のごはんは何?

 

この違いはとても大切です。もし、会社で「私の母は」と話すべきところを、「私のお母さんは…」と話してしまったらどうでしょうか。使い分けが正しくできていないため、どこか子どもっぽく聞こえてしまうんです。自分の親について話すときは「父」「母」を使う、としっかり覚えておきましょう。

 

これを知っていたら日本語マスター?

ここでは、日本語の教科書にはあまり出てこないけれど、日常生活や映画、アニメなどで耳にする「お父さん」「お母さん」の様々な表現をご紹介しましょう。

まず、「父さん(とうさん)」「母さん(かあさん)」という呼び方があります。これは「お父さん」「お母さん」より少しカジュアルな印象があり、女性より男性が使うことが多い表現です。また若い人よりは、少し年齢が高めの人がよく使います。

次に「お父ちゃん(おとうちゃん)」「お母ちゃん(おかあちゃん)」、そこから「お」を取った「父ちゃん(とうちゃん)」「母ちゃん(かあちゃん)」という呼び方もあります。これは「〜さん」に比べると、素朴で庶民的な言い方です。そして、時代的にはちょっと古い感じがします。昔のドラマを見ると、子どもがよく使っています。

さらに、先ほど紹介した「パパ」「ママ」、関西地方で使われる「おとん」「おかん」、少し古くて男性的な表現「おふくろ」「おやじ」もありますね。ちなみに「おふくろの味」という言葉がありますが、これは「母親の手料理」を意味する言葉です。

ちなみに私はクラスで「父上(ちちうえ)、母上(ははうえ)は、いつ使いますか?」と、学生から質問されたことがあります。みなさん、この言い方を聞いたことがありますか。これも「お父さん」「お母さん」のバリエーションなんですが、歴史的にはずっとずっと昔、侍の時代などに使われていた表現です。ですので、アニメや映画の中では使われることがあるかもしれませんが、現代ではまず使いません。間違えても会社で「きのう、私の母上が…」などと言わないようにしてくださいね。

最後にひとつ注意ですが、日本では自分の親を名前で呼ぶことは、ほとんどありません。特別な考え方や事情がある場合を除き、たいていは「お父さん」「お母さん」などと呼ぶことも知っておくといいでしょう。

 

動画で「お母さん」の呼び方を解説!

https://youtube.com/shorts/0J3khcOT1zg?si=vCadpfvPLrQL3PgI

 

TCJでもっと日本語を学ぼう

このように、日本語には親を呼ぶ言い方がたくさんあります。どの言い方を使うかは、その人の年齢や家族の雰囲気、住んでいる地域などによって変わるので、ぜひいろいろな場面で耳をすませて聞いてみてください。そして、自分にピッタリの言い方が知りたい!と思った人は、ぜひTCJの先生に聞いてみてくださいね。きっと新しい発見がありますよ。

 

この記事の筆者
日本語教師/ライター
FukudaShoko
大手教育系企業にて英語講師養成トレーナーとしてキャリアをスタート。その後、広報職に転身し、企業内ライターとして新聞コラムや書籍の執筆を担当。語学好きが高じ、2020年より日本語教師として活動を開始。2022年にスペインへ移住後は、現地の日本語学校で教鞭を執るほか、TCJのプライベートレッスン講師、日本語試験の問題作成、執筆業などに従事。最近嬉しかったことは、ひらがなの書き方から教え始め、ずっと一緒に勉強してきた生徒が日本での就職を決めたこと。

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