日本語の文字は3種類ある!?
先月JICAの日本語クラスを担当しました。今回は、日本語を今まで全く勉強したことがない、「ありがとう」「さよなら」くらいしか知らない方々が参加されました。ローマ字表記で教えていくクラスは久しぶりで大変でしたが、日本語について知識ゼロの方に教えるのはそれはそれで新しい発見があり楽しいものです。参加者から「どうして日本語には3つの文字があるの?」「どうやって使い分けているの?」など質問が飛び交い、私が試しに
1月20日にJICAのプロジェクトが始まりました。
と、ひらがな・カタカナ・漢字・数字・ローマ字を混ぜた文を書いてみると「単語と単語の間にスペースはないの?」「コンマは使うの?」と面白い視点の質問から、「ひらがなはカーブが多いね」「カタカナはカクカクしてるね」「漢字は線が多すぎ!難しそう!」と素直な感想が飛び交いました。そんな参加者たちを思い浮かべながら、日本語の文字について紹介しようと思います。
日本語の文字の歴史
漢字は中国で作られ、日本に伝えられた文字です。中国語の漢字と日本語の漢字は同じ形のものもあれば、違うものもあります。日本固有の物や人名などを表すために、日本人が考えて作ったメイドインジャパンの漢字「国字」もあります。
ひらがなやカタカナは、漢字をもとに変形して作られた文字です。平安時代(794年-1185年)に、漢字の全体をくずしてできた「平仮名」と漢字の一部を使ってできた「片仮名」が生まれました。正直なところ、日本語教師になってゼロ初級の学習者さんを教えるまでカタカナが漢字からできたなんて知りませんでした。
「仮名」というのは、中国から伝わってきた漢字を「本当の名前」という意味で「真名(まな)」と呼ぶのに対して、「仮の名前」という意味で「仮名」と名づけられました。また、漢字は男性が使う文字、仮名は女性が使う文字という考え方もありました。この考えが今の時代まで続いていたら、漢字を勉強するのは男子生徒だけ!ということですよね、想像できませんが…。
ひらがなとは
Q:ひらがなは何文字ありますか?
A:46文字あります。「が・ざ・だ・ば行」の濁音や「ぱ行」半濁音を含めると、合計71文字です。
大きな特徴は、「ん」以外のすべての文字が母音(「あ」「い」「う」「え」「お」の音)を含んでいることだといわれています。ひらがなを長く発音してみてください。すべての音にあいうえおの音が隠れています。カタカナも同じです。
Q:ひらがなの魅力は何ですか?
A:私が思うひらがなの魅力は、丸みのある文字なので柔らかくて優しい印象で、親しみを感じられることです。たとえば「幸せ」は「しあわせ」、「嬉しい」は「うれしい」、「素晴らしい」は「すばらしい」と書いた方が、優しくて温かい印象が文字から伝わります。あくまで個人的な意見です。私はこれらの言葉は漢字は使わず、わざとひらがなで書きます。また、「子どもでも読める」ことも魅力の一つではないでしょうか。ひらがなが読めれば、子ども向けの本をひとりで読むことができます。
カタカナとは
Q:カタカナはいつ使いますか?
A:外国から入ってきて、日本語のように使われる言葉「外来語」や、外国の地名や人名、製品名などを書き表すために使います。パン、コーヒー、クリスマス、カフェに行く、アプリをインストールするなどなど。
※外来語については、こちらの記事もどうぞ!
日本人が使う外来語とは?元の言葉と発音は同じ…? – World Class Education 東京中央日本語学院 (TCJ)
Q:カタカナは何文字ありますか?
A:基本的な文字はひらがなと同じ46文字ですが、カタカナはひらがなでは表すことができない音を書き表すことができます。たとえば、私の名前「パイヴァ」の「ヴァ」がそうです。国際結婚後、日本で名前を登録する時に、ポルトガル語の「Paiva」の音に近いのと字面的にも「パイヴァ」の方が「パイバ」よりかっこいいと思ったので選んだのですが、日本人に馴染みのない音なので電話予約をする時に大変です。
それから、「タクシー」のように長く伸ばす音「ー」が用いられるのも特徴のひとつです。「ー」は原則的にひらがなと一緒には使いませんが、友だちとのメールやSNSの投稿などでは「おはよー」「ねむーい」のように使われています。フォーマルな文書では使われません。
Q:カタカナの魅力は何ですか?
A:私が思うカタカナの魅力は、ひらがなや漢字表記の言葉をあえて意図的にカタカナにすることで、クールな、スタイリッシュな、今時な感じを演出でき、またその言葉が本来持つニュアンスを軽くできることです。たとえば、「画像」を「イメージ」、「芸術」を「アート」と書くと言葉が持つ意味の幅が広がったり、本来の意味より軽い印象を抱きます。また「綺麗」「きれい」「キレイ」、「お洒落」「おしゃれ」「オシャレ」だとカタカナ表記はかっこよさが際立ちます。あくまで個人的な印象です。
漢字とは
Q:漢字は何文字ありますか?
A:日本の漢字は五万字もあるといわれています。
Q:日本語の漢字には、読み方が2種類ありますか?
A:「音読み(おんよみ)」と「訓読み(くんよみ)」があります。たとえば、「水」という漢字は「スイ」と読むのが音読みで、「みず」と読むのが訓読みです。
音読みは、中国語の漢字の発音を、昔の日本人が聞き取って発音してみた音です。英語の「water」を「ウォーター」と日本語なまりで読むのと同じです。
訓読みは、昔の日本人が使っていた言葉を漢字に当てはめた読み方です。「みず」という自分たちが使っていた言葉が最初にあって、象形文字の「水」を当てはめました。
「生」のように訓読みが、い-きる、う-まれる、は-える…たくさんある漢字があります。これは、「いきる」という言葉に「生きる」を当てた人、「うまれる」という言葉に「生まれる」を当てた人、それぞれいたということでしょうか。面白いですね。
Q:日本人はどのくらい漢字を知っているの?
A:はっきりとしたデータを見つけられなかったので推測ですが、「知っているだけ」で言うと一般的な成人は3000くらいではないでしょうか。「知っていて書ける」はまた別の話です。漢字検定という試験があり、1級が6000字程度。これは漢字オタクの領域で古典の漢字や普段使わないマニアックな漢字まで知っているレベルです。
Q:外国人はどのくらい漢字を学べばいいの?
A:国が決めた指針では、小学校6年間で習う漢字は1006字、高校を卒業するまでには2136字読めるようにとあり、そのくらい知っていると日常生活は送れるということです。これはあくまで漢字の数で、一つの漢字に対して、訓読みと音読みがありますから(中には訓読みだけ、音読みだけの漢字もあります)漢字の数の約2倍の読み方を覚えなければいけません。オーマイガー!
JLPTの旧試験の認定基準(現在は漢字数は非公開)によると、3級(現N4)は初級日本語コースを修了したレベルで漢字300字程度の習得と書いてあります。そして、2級(現N2)は漢字1000字程度。1級は日本語を900時間学習したレベル、漢字2000字程度の習得が求められています。
それから、外国人が日本の子どものように小学校で習う漢字を一から勉強するのはちょっと違います。外国人が漢字を学ぶ時に大切なのは、自分に必要な漢字から学ぶことです。
Q:漢字の魅力は何ですか?
私が思う漢字の魅力は、なんといっても便利なことです!文字を見ただけで意味が分かる!もしくは、意味を想像できる!とても便利です。それから、ひらがなで「いち」と書くより「ー」と書けば時間の短縮もできます♪
TCJでもっと日本語を学ぼう
漢字の学習を始めた学習者さんから「今までは目に入ってこなかったけど、身近に漢字がたくさんあることに気づいた。世界が広がった」「マンガやアニメの世界で読める漢字があると嬉しい」などの感想を聞くと嬉しいです。
漢字は覚えるのが苦手、難しいと苦手意識を持っている人もたくさんいると思いますが、それは外国人に限らず、日本人も同じなのでご安心ください。日本人だから漢字がわかるなんてとんでもない!一度で覚えられない漢字がたくさんあります。漢字を勉強している人はみんな仲間です!一緒に頑張りましょう!
参考文献
古藤友子(1997)『日本の文字のふしぎふしぎ』アリス館
世界の文字研究会編(2009)『世界の文字の図典』吉川弘文館
町田和彦(2004)『世界の文字と言葉入門1 世界の文字の起源と日本の文字』小峰書店
町田和彦(2006)『世界のなかの日本語 2日本の文字の誕生』小峰書店
今野真二(2017)『漢字とカタカナとひらがな 日本語表記の歴史』平凡社
JLPT 旧試験 新試験 認定の目安 認定基準 https://www.jlpt.jp/about/pdf/comparison01.pdf